生産者について:マチュー・コスト
ロワールワインの試飲会でラベルをじーっと見ていたら、「猫・・・好きなのか?」と、はにかみながら声をかけてくれた、マチュー・コスト。
「ブシャール・ペール・エ・フィス」で2002年と2003年ヴィンテージの赤ワインの醸造主任を務めながら、ボーヌの醸造学校「リセ・ヴィティコル・ド・ボーヌ」で醸造学の教鞭を執り、翌2004年からは同学校の醸造長として後進の育成に尽力した、プロフェッショナルでした。
サンセール村から北東に15km、ヴィルモワゾン村出身の彼は、同村で1979年からビオロジック栽培を貫いてきた「コトー・ド・ジェノワ」の巨人、アラン・ポーラに気に入られ、共に2007年ヴィンテージの醸造を行った翌2008年、跡取りに恵まれなかったポーラからドメーヌを買い取ることになり、ここに「ドメーヌ・マチュー・コスト」が誕生しました。
「30年間以上、化学肥料も農薬もまったく使用されていない畑に、樹齢50年以上の古樹が植わっています。ぶどうには、長く伸びた根が土中深くから吸い上げてくれる滋養分やミネラルが、ぎっしりと詰まっています」。
「生徒たちには、「自分のためにワインを造りなさい」と言い続けてきました。自分が飲んで心から美味しいと納得できるワインを造ってはじめて、お客様にも自信を持って販売することができます。逆に、自分が美味しいと思えないワインは、結局売れ残り、ドメーヌの経営を圧迫することになります。その意味でも、自分のためにワインを造れ、です」。
ファーストヴィンテージの2007年ものは、Demi-Muid(600L樽)とステンレスタンクに分けて48ヵ月間も熟成させた後、2012年にようやく発売されました。 「ここのぶどうのポテンシャルに応えながら、ワイン全体の調和を高め、かつ、複雑さを増すためには、この熟成期間が必要でした。それに熟成期間が短いと、ワインが開かないまま熟成のピークを迎えてしまうことが多いのです。また、静かに長期熟成させると、清澄や濾過をする必要もなくなります」。
猫の話に戻りますが・・・キュヴェ名の「Les Têtes de Chats(猫の頭)」は、畑のリウ・ディ(区画)の名前です。その昔この畑から、猫の頭(顔)の形をした石がたくさん見つかったことから命名されたのだそうです(見たかった~!)。もちろん、このラベルを作ったくらいですからマチュー自身も大の猫好き。愛猫は「ムエット」といいます。
ちなみに宮崎駿監督作品の大ファンだそうで、特に好きなキャラクターは・・・「猫バスです」。